改訂新版 世界大百科事典 「ガードナー症候群」の意味・わかりやすい解説
ガードナー症候群 (ガードナーしょうこうぐん)
Gardner syndrome
1951年アメリカのガードナーE.J.Gardnerが報告した,大腸における多数のポリープの発生,骨腫,軟部組織の腫瘍の3者を備えた疾患。ポリープは腺腫であり,大腸に多数発生して癌化の傾向が高く,胃,十二指腸にもポリープを合併することが多い。骨腫は頭や顎,足の骨などに出現し,軟部組織の腫瘍は類皮囊胞,類腱腫,繊維腫などであるが,腸間膜や後腹膜に発生することがある。常染色体性優性遺伝をきたすため,近親者に同様の症状をみるが,まれな病気。歯の形成異常を伴うことが多く,骨や軟部組織の腫瘍とともにポリープに先行して見つけられることが多い。手術による早期切除が必要である。近年,家族性(大腸)ポリポーシスと同一であることが確認された。脳や脊髄の腫瘍を合併するターコット症候群Turcot syndromeや軟骨の腫瘍を合併するザンカ症候群Zanca syndromeも同系の病気と考えられている。
→腸管ポリープ
執筆者:酒井 義浩
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報