家庭医学館 「軟部腫瘍」の解説
なんぶしゅよう【軟部腫瘍】
骨腫瘍(こつしゅよう)と同じように、良性軟部腫瘍(りょうせいなんぶしゅよう)、悪性軟部腫瘍(あくせいなんぶしゅよう)、軟部腫瘍類似疾患(なんぶしゅようるいじしっかん)に分けます。
悪性軟部腫瘍(「悪性軟部腫瘍」)は、発生した場所で大きくなるだけでなく、肺、リンパ節、骨などに転移する可能性があるものです。
腫瘍の性格をもっていますが、真の腫瘍とはいえないものが軟部腫瘍類似疾患です。
良性軟部腫瘍は、発生した場所で大きくなりますが、他の臓器には転移しません。
■脂肪腫(しぼうしゅ)
良性軟部腫瘍の代表的な腫瘍です。筋肉内にできることもありますが、多くの場合、皮下(ひか)にやわらかい境界のはっきりした腫瘍として触れます。痛みはありません。
1つだけできる場合と、多数できる場合があります。
大部分は、触診で触れて、境界が明瞭(めいりょう)であり、腫瘍がやわらかいことで診断されます。
まれに脂肪肉腫とのちがいをみきわめるために、針を刺したり手術的に腫瘍の一部をとり、その組織を顕微鏡で調べること(生検(せいけん))が必要な場合もあります。
脂肪腫と診断がつけば、とくに治療の必要はありません。
■ガングリオン
手指や手関節などに、小さなかたい腫瘤(しゅりゅう)(こぶ)ができます。非常にかたく、骨の腫瘍とまちがわれることもあります。このほか、膝(ひざ)のうしろにできることもあります。
ときに、鈍い痛みをともないます。
腫瘤は、袋状のものの中に透明なゼリー状の内容物がつまっていて、注射器によって内容物を吸引すれば、診断が確定できます。
吸引によって腫瘤は消えますが、再発することもあります。再発しても、良性腫瘍であることがはっきりしていますので、心配はありません。