日本語のガ行の子音は、文節の頭では破裂音[g]で発音されるが、文節の内部では方言によってさまざまで、[g]のほかに鼻音の[ŋ]、あるいは[g]の前に軽い鼻音が入る[ŋg]で発音される。この[ŋ]で発音される文節内部のガ行音をガ行鼻音(またはガ行鼻濁音)といい、標準的な発音とされてきたが、現在東京その他の若年層ではしだいに[g]が増加する傾向にある。
文節の内部といっても、複合の度合いの弱いものは鼻音化せず、東京語では次のようなものは鼻音化しない法則がある。(1)擬声・擬態語の類(ガラガラ、グーグー)、(2)数詞の五(ジューゴ、ゴヒャクゴジュー)、(3)軽い接頭辞のつくもの(オゲンキ、フゴーカク)、(4)後部の語頭がガ行音で、複合の度合いの弱いもの(コートーガッコー、マドガラス)など。
[秋永一枝]
…〈ガ行鼻音〉ともいう。音声学的にいえば[]の音のこと。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」