キルチネル(英語表記)Kirchner, Néstor

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キルチネル」の意味・わかりやすい解説

キルチネル
Kirchner, Néstor

[生]1950.2.25. リオガイェゴス
[没]2010.10.27. カラファテ
アルゼンチンの政治家,弁護士。大統領(在任 2003~07)。フルネーム Néstor Carlos Kirchner。ラプラタ国立大学で法律を学び,大学時代に正義党ペロン党)の青年組織に加入した。1987年リオガイェゴス市長に当選。1991年にはサンタクルス州知事(任期 4年)に当選,同職を連続 3期務めた。知事在任中はカルロス・サウル・メネム大統領をたびたび批判。州外での知名度は低かったが,2003年に大統領選挙に立候補,4月の第1回投票ではメネムに僅差で敗れ 2位につけた。しかし同年 5月の決選投票直前,世論調査でキルチネルに大きく水をあけられていたメネムが出馬を辞退し,無投票でキルチネルの当選が決まり,大統領に就任した。就任後は国民受けのよい数々の施策を実行し,権力基盤を固めた。ペソ切り下げをはじめとする政策は経済成長をもたらし,2005年10月の議会選挙では上院下院とも,正義党キルチネル派が勢力を伸ばした。2005年12月,国際通貨基金 IMFへの債務約 100億ドルを全額返済するよう財務省に命じた。これはアルゼンチンの IMF依存脱却を示唆する,ささやかながらきわめて象徴的な意思表示だった。再選は目指さず,2007年の大統領選挙では正義党から立候補した妻のクリスティナ・フェルナンデス・デ・キルチネルを支持すると発表した。妻クリスティナは大差をつけて当選,アルゼンチン初の選挙で選出された女性大統領となった。2008年4月,正義党の新党首に就任した。

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