朝日日本歴史人物事典 「クルーゼンシュテルン」の解説
クルーゼンシュテルン
生年:露暦1770.11.8(1770.11.19)
18~19世紀のエストニア生まれのロシアの提督。ロシア領アメリカ植民地を本国と結ぶ世界交易路の開発を政府に上申,1803~06年に「ナデジダ号」の艦長としてロシア船最初の世界周航を実現した。その途中文化1(1804)年には遣日使節レザーノフを送って長崎に来航。その後北海道西岸,樺太の南岸と東岸,千島列島を測量し,さらに樺太北岸とアムール河口も調査した。樺太が離島であることは確認できなかったが,その科学的成果のゆえにラ・ペルーズ,ブロートンと並んで北太平洋の三大航海者のひとりに数えられている。著書『世界周航記』(1809~12)は有名で,わが国でもすでに文政末(1828年頃)に青地林宗が『奉使日本紀行』の書名で蘭訳本から抄訳した。
(秋月俊幸)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報