日本大百科全書(ニッポニカ) 「モンテレー」の意味・わかりやすい解説
モンテレー(メキシコ)
もんてれー
Monterrey
メキシコ北東部、ヌエボ・レオン州の州都。東シエラ・マドレ山脈の東麓(とうろく)、標高538メートルに位置する。人口111万0909(2000)。「北部の女王」とよばれる工業都市である。アメリカやコアウイラ州の炭田に近いことから発展し、製鉄、ガラス、化学、製薬、製粉の諸工業のほか、電気機器製造業が発達している。工業大学、工業研究所もある。国際空港もある交通の要地で、メキシコ市へは飛行機で2時間半、高速バスで13時間を要する。1579年に町が建設され、1796年に建設された教会や、1846年につくられた要塞(ようさい)が残っている。1782年に建設された司教の家は、博物館として市の発展を物語る。近郊には、1843年に発見された中央アメリカ最大のガルシア鍾乳洞(しょうにゅうどう)をはじめ、「馬の尾滝」、ワステカ渓谷があり、観光地となっている。また周辺は灌漑(かんがい)農業地域で柑橘(かんきつ)類の生産が多い。
[高木秀樹]
モンテレー(アメリカ合衆国)
もんてれー
Monterey
アメリカ合衆国、カリフォルニア州中部、モンテレー湾に臨む都市。人口2万9674(2000)。美しい海岸線や緑など、自然景観に恵まれ、南西に隣接するカーメルとともに行楽・保養地として広く知られており、芸術家が多く集まる所としても有名である。全盛期のおもかげはないが、現在もイワシ漁を中心とした漁業が行われ、缶詰工業がある。1846年に合衆国領となるまで、1775年から北部カリフォルニアの主都として君臨した輝かしい歴史をもち、モンテレー要塞(ようさい)(1770建設)、州最初の劇場(1844)、州最古のれんが造の建物(1847)など古い建造物も多く保存され、当時をしのぶことができる。1770年にフランシスコ派布教地として町が開かれ、1850年市制が施行された。
[作野和世]