強制性交等罪(読み)きょうせいせいこうとうざい

知恵蔵miniの解説

強制性交等罪

犯罪を厳罰化する刑法改正案の提出に伴い、法務省が従来の「強姦罪」から変更した新たな名称である。強姦罪という「加害者は男性、被害者は女性」であることを前提とした名称を変え、性差をなくすことを踏まえている。同刑法改正案が成立すれば、明治時代以来から続いた強姦罪という罪名はなくなる。性犯罪を厳罰化する刑法改正案は、強姦(強制性交等)罪や強制わいせつ罪などについて被害者の告訴がなくても加害者を起訴できる「非親告罪」となる。また、強姦罪と強姦致死傷罪の法定刑の下限を懲役5年と懲役6年にそれぞれ引き上げ、加害者と被害者の性別も問わなくする。同刑法改正案は2017年1月20日に開会した通常国会に提出する予定で、17年3月上旬の閣議で正式決定される見通しである。

(2017-1-24)

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デジタル大辞泉の解説

きょうせいせいこうとう‐ざい〔キヤウセイセイカウトウ‐〕【強制性交等罪】

暴行または脅迫によって性交肛門性交口腔性交をする罪。刑法第177条が禁じ、5年以上の有期懲役に処せられる。強制性交罪
[補説]平成29年(2017)の法改正により、強姦罪の構成要件や法定刑を見直し、名称を変更したもの。従来の強姦罪は、女性に対する姦淫(かんいん)を対象とし、親告罪として規定されていたが、強制性交等罪は、被害者・加害者の性別に関係なく適用され、被害者の告訴がなくても起訴できる非親告罪に改められた。法定刑の下限は、懲役3年から5年に引き上げられた。また、親が監護者としての影響力に乗じて18歳未満の子と性交等をした場合に強制性交等罪と同様に処罰する監護者性交等罪が新設された。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

強制性交等罪
きょうせいせいこうとうざい

13歳以上の者に対し暴行または脅迫を用いて性交、肛門(こうもん)性交または口腔(こうくう)性交(以下、性交等という)をする罪であり、5年以上の有期懲役に処せられる。13歳未満の者に対し性交等をした場合も同様である(刑法177条)。また被害者の心身喪失もしくは抵抗不能の状態を利用し、または心神喪失もしくは抗拒不能に陥れて、性交等をした者も同様に処罰される(同法178条、準強制性交等罪)。たとえば加害者が被害者の熟睡や泥酔の状態を利用する場合や、加害者が被害者にアルコールや睡眠薬を飲ませる場合がこれにあたる。
 強制性交等罪は、2017年(平成29)7月、刑法における性犯罪の規定が110年ぶりに大幅な改正がなされる際に、強姦(ごうかん)罪(旧刑法177条)にかわって設けられた。改正前の強姦罪は男性が女性を姦淫する場合に限られ、肛門性交および口腔性交の強制は強制わいせつ罪(旧刑法176条)にあたると解されていた(ただ、女性と男性が共同して女性を姦淫する場合は、加害女性も強姦罪の共同正犯または間接正犯となりえた)。これに対して、現行法では、処罰範囲が拡大され、男女を問わず、このような性交等を強制すれば、強制性交等罪または監護者性交等罪(18歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて性交等を行った罪)になる。これらの罪は、改正前の刑法第180条では被害者の意思やプライバシーを尊重して親告罪(告訴がなければ公訴を提起できない罪)とされていたが、改正後は、加害者等からの干渉や報復を回避するため、この規定が削除され非親告罪となった。[名和鐵郎]

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