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クロボキン くろぼきん

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

クロボキン
くろぼきん / 黒穂菌
smuts

担子菌類のクロボキン目に属するカビで、イネ科、カヤツリグサ科、タデ科、ナデシコ科などの植物に黒穂病をおこし、黒い粉状の胞子を生ずる。この胞子は厚い細胞壁で包まれた休眠性の冬胞子で、黒穂胞子、あるいは焼焦(やけこげ)胞子、焦(しょう)胞子ともいわれ、表面には一般にいぼか網目がある。[寺川博典]

生活環

冬胞子は地上に落ちて翌春に発芽し、生じた短い発芽管(前菌糸)が担子器(担子柄)として働いて減数分裂を行い、担子胞子(小生子)を生ずる。担子器が1室のもの(ナマグサクロボキン科)と、減数分裂に伴って隔壁を生じて直列4室になるもの(クロボキン科)とがある。担子胞子から生じた一核菌糸間で接合し、あるいは担子器細胞間とか担子胞子が接合し、二核菌糸が形成される。二核菌糸が地中で苗に侵入する。あるいは種子に付着していた胞子から苗が感染したり、雌しべが直接感染する場合もあり、侵入した一核菌糸が接合して二核菌糸ができる。いずれにしても、二核菌糸は宿主内で成長し、若い穂の子房とか茎の部分で急に多くなって菌糸層をつくる。その部分の宿主細胞は分裂を繰り返して菌こぶ(子房の場合は普通の2倍の大きさ)になる。その中の菌糸層の多くの菌糸細胞は丸くなって厚壁を生ずる。そのころ細胞内の2核は癒合して一つの複相核となり、冬胞子が完成する。菌こぶは宿主の表皮で覆われ、その中には、この冬胞子の粉状塊と残った菌糸、および乾いた宿主細胞が詰まっている。菌こぶの表皮が破れると、冬胞子が散布される。
 コムギを宿主とするものに、コムギハダカクロボキン、コムギナマグサクロボキン、コムギカラクロボキンなどがある。著しい菌こぶには、穂が大きく変形する「トウモロコシのおばけ」、地下茎が膨れる「マコモのねずみ」があり、後者の胞子形成前のものは食用になる。ジャワ産ミチヤナギ属の1種は、茎にアンズタケ状の菌こぶができる。[寺川博典]

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について | 情報 凡例

世界大百科事典内のクロボキンの言及

【黒穂病】より

…オオムギ,コムギ,トウモロコシ,サトウキビ,ママコノシリヌグイなどでよく見られる。黒穂病菌(クロボキン)は担子菌類のクロボキン目Ustilaginalesに属する菌の総称で,いずれも自然条件では生きた植物(被子植物)に寄生する。世界では約35属1100種が知られており,日本には17属が分布している。…

※「クロボキン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

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