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グラント・エレメント grant element

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

グラント・エレメント
grant element

発展途上国に対する資金援助のうち贈与的な要素を表わす概念で,援助条件の緩和性を表わす指標として利用されている。具体的には援助約束額 (名目価値) から将来の元利支払額の現在価値を差引いた額を算出し,援助約束額に対する贈与相当額の割合を求めることによって示される。元利支払額の現在価値を求める際に用いられる割引率は,援助供与国が資金を援助以外の目的で使用した場合の収益率を想定したものであって,開発援助委員会 DACの慣行上 10%とされている。したがって金利 10%をこえる借款のグラント・エレメントはゼロ,一方贈与は援助条件の最も緩和されたものとみなされるのでグラント・エレメントは 100%となる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

グラント・エレメント
ぐらんとえれめんと
grant element

開発途上国への援助に占める贈与的な要素を表すために、1969年、開発援助委員会(DAC(ダック))により設定された指標。贈与等価割合あるいは贈与相当分と訳され、援助条件のソフト性を示す。コンセッショナル・エレメントconcessional elementともいわれる。その比率は、借款約束額から将来の元利返済額の現在価値(割引率10%)を引き、これを借款約束額で除して算出されるが、据置期間や償還期間が長く、金利が低いほどグラント・エレメント比率は高くなり、それだけ開発途上国にとって有利な援助条件となる。たとえば完全な贈与は100%であるが、金利が10%を超える借款はゼロとなる。ちなみに、1995/96年平均のDAC加盟国の政府開発援助約束額(債務救済を含む)の平均グラント・エレメントは91.8%であるが、日本の場合80.5%と低く、ODA(政府開発援助)の最大の供与国であったものの、援助条件については、DAC加盟21か国(当時)中最下位であった。また、2005/06年平均について、DAC加盟国のODA約束額の平均グラント・エレメントは97.5%と上昇しているが、それに比べると日本は88.4%と改善はしているものの相変わらず低い。ODAの供与額についても、アメリカに次いで第2位であるが、グラント・エレメントはDAC加盟22か国中で最下位のままである。[秋山憲治]
『ユーロステップ他編『援助の現実』(1998・国際開発ジャーナル社)』

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世界大百科事典内のグラント・エレメントの言及

【ODA】より


[ODAの定義と種類]
 ODAは次の三つの要件をすべて満たす資金の流れを指す。すなわち,(1)政府ないし政府機関によって供与されるものであること,(2)途上国の経済開発や福祉の向上に寄与することを主たる目的としていること,(3)資金協力については,グラント・エレメントが25%以上であること,である。軍事目的のための贈与あるいは借款は除かれる。…

【借款】より

…先進国が発展途上国に援助資金を供与する場合には,とくにこの借款条件が問題になる。借款条件が厳しい(ハード)か,ゆるやか(ソフト)であるかを示す指標として,〈グラント・エレメントgrant element〉(贈与等価割合,または援助条件緩和指数)が使われる。これは,借款金額から元本と利子の返済額の流れを一定の割引率で割り引いた現在価値を差し引いたものである。…

※「グラント・エレメント」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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