ケット語(読み)ケットご(英語表記)Ket language

  • Кет/Ket

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

エニセイ川中流から下流にかけて話されている言語で,約 1100人の話し手をもつ。 1934年にこれを書き表わすためのラテン文字がつくられた。一名エニセイ=オスチャーク語と呼ばれ,すでに死滅したコット語,アサン語,アリン語とともにエニセイ語族として古シベリア諸語の西方派をなすとされるが,その親族関係が確立しているわけではない。抱合語的特徴が著しい。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ロシア連邦、エニセイ川の中流のトルハンスクとその支流ポドカメンナヤ・ツングースカ川のバイキート付近に住むケット人の言語。旧称をエニセイ・オスチャーク語といった。人口は約1000人で、イムバット方言とシム方言に分かれる。名詞には男性、女性、物性の別があり、単数と複数で、男性と女性は5格に、物性は7格に変化する。女性単数主格am「母が」、向格am-diŋa「母へ」、離格am-dil′「母から」、所格am-diŋt′「母のもとに」、共格am-aś「母と」。動詞は接頭辞や挿入辞により活用する。usqit「なぐさめる」の変化形d-usqi-r-it「彼が私をなぐさめる」では、d-が主語の接頭辞、-r-が目的の挿入辞である。この言語の系統は謎(なぞ)に包まれている。

[小泉 保]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 古アジア諸語中のエニセイ諸語に属する言語。エニセイ川の中・下流流域で話される。古くは旧シベリア語群(極北語)に属しエニセイ‐オスチャーク語と呼ばれ、他の諸言語との類似が指摘されたが、現在ではいずれの言語とも親縁関係を認められない孤立した言語とされている。

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世界大百科事典内のケット語の言及

【旧アジア諸語】より

…そのうちいくつかの言語は互いに小語族(下記(4)(5))を形成するが,他はそれぞれ系譜関係が明らかでない孤立の言語((1)(2)(3))であり,全体として系譜的に単一のまとまりをなすものではない。(1)ケット語Ket(エニセイ・オスチャーク語Yenisei‐Ostyakとも呼ばれる。ただしフィン・ウゴル語派のオスチャーク語とは別),(2)ギリヤーク語(またはニブヒ語),(3)ユカギール語,(4)チュクチ・カムチャツカ語族,(5)エスキモー・アレウト語族(語域の大部分は新大陸にあるが,一部は東北アジアに分布)。…

※「ケット語」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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