日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
コンクリートブロック構造
こんくりーとぶろっくこうぞう
コンクリートであらかじめつくった小型の中空ブロック(コンクリートブロックという)を、縦・横に鉄筋を入れて補強しながらモルタルを介して積み上げ、ブロック内部の空洞にコンクリートを打って建築物の壁面を構築する構造。耐震性、耐火性の面で鉄筋コンクリートに準ずる性能をもち、3階建て以下の小規模建築物に利用される。とくに、都市の家屋密集地において、木造建築にかわって用いることによって火災や地震災害を未然に防止できることから、第二次世界大戦後注目を浴び、発達普及してきた。構造形式によって補強コンクリートブロック造と型枠コンクリートブロック造に大別されるが、施工が比較的簡単な前者が今日では主として用いられている。 は補強コンクリートブロック造の建物の構造をわかりやすく示した例で、鉄筋コンクリート造の梁(はり)(臥梁(がりょう)という)や床スラブと組み合わせて建物がつくられる。
使用するコンクリートブロックは種々の形のものが考案されている。一例である。このうち、基本ブロックは壁面(とくに耐力壁)を構築する基本となるもので、高さ19センチメートル、長さ39センチメートル、厚さ15センチメートルまたは20センチメートルの大きさである。積み上げられた場合のモルタル目地を含めて計算すると、目地厚さは1センチメートルであることから、高さ20センチメートル、長さ40センチメートルとなり、建物のおおよその高さや長さをその寸法から計算できるので便利である。厚さが10センチメートルまたは12センチメートルのブロックもあるが、これらは間仕切り壁や塀に用いる。1978年の宮城県沖地震で家屋のコンクリートブロック塀が倒壊し、通行人が死傷するという災害がおこった。これはブロック積み上げの際に鉄筋(とくに縦筋)がまったく入れてなかったためであり、コンクリートブロック造の場合にはいかに軽微な壁面といえども、決められた量の鉄筋を入れて補強することを忘れてはならない。
はその[六車 煕]
『日本建築学会編・刊『構造用教材』(1985)』▽『佐治泰次著『建築構法』(1981・理工学社)』