日本大百科全書(ニッポニカ) 「サクラソウ科」の意味・わかりやすい解説
サクラソウ科
さくらそうか
[学] Primulaceae
双子葉植物、合弁花類。一年草ないし多年草。葉は単葉で全縁または鋸歯(きょし)があり、互生、対生または輪生し、群生することが多い。花は葉腋(ようえき)に単生し、多くは総状花序、散形花序をつくり、両性で、一般に放射相称であるが、まれに左右相称のものもある。萼(がく)は筒状となる。花冠は一般に高坏(たかつき)形で、細い筒があり、先は5(まれに4)裂し、裂片は広く開くが、深裂するもの(ヤナギトラノオ属、ツマトリソウ属)、裂片が反曲するもの(シクラメン属)がある。雄しべは花冠裂片と同数で花筒に合着し、裂片と対(つい)の位置にある。子房は上位まれに中位、1室で、独立中央胎座に多くの胚珠(はいしゅ)がつく。果実は蒴果(さくか)。世界の温帯から寒帯に分布し、28属800種ほどある。日本にはオカトラノオ属、サクラソウ属、ルリハコベ属、ハイハマボッス属など10属37種ある。サクラソウやシクラメンなど、よく栽培され、多くの園芸品種がつくられている。
[山崎 敬 2021年3月22日]
APG分類では従来のサクラソウ科に、ヤブコウジ科、テオフラスタ科、イズセンリョウ科が含まれるようになった。この分類によると、世界に約60属2300種が知られる。日本には約10属50種がある。
[編集部 2021年3月22日]