シナウスイロイルカ(英語表記)Sousa chinensis; Indo-Pacific hump-backed dolphin

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シナウスイロイルカ」の意味・わかりやすい解説

シナウスイロイルカ
Sousa chinensis; Indo-Pacific hump-backed dolphin

クジラ目ハクジラ亜目マイルカ科ウスイロイルカ属。最大体長は雄約 3.2m,雌約 2.5m。最大体重は約 284kg。出生体長は 1m程度である。体色は年齢や生息地域によって異なる。多くのものは背部が黒鉛灰色で体側および腹部は明灰色であり,成長に伴い体色は濃くなるが,マレーシアやオーストラリア沿岸に生息するものは,年齢を問わず全身白色に近い。また西インド洋や中国沿岸のものは幼鯨の方が体色が濃い。成鯨はまれに桃白色の斑紋をもつ。噴気孔は1個で頭部正中線上にある。嘴 (くちばし) が長く,長さは体長の6分の1に達し,前頭部との境目は明瞭。背部の中間部が著しく盛上ってキール (稜状の隆起) をなしており,背鰭 (せびれ) はその頂点に位置する。背鰭は小さく,その形状はさまざまであり,後縁はやや垂れる。上下顎骨に左右 26~35対の円錐歯がある。摂餌や縄張りの監視,休息などを常に群れで行う。群れの構成に永続性があり,通常 10頭以下であるが,まれに 30頭をこえる。繁殖期は周年であるが,南アフリカでは夏に出産の最盛期を迎える。おもに沿岸性魚類を捕食する。分布は北オーストラリア,中国南部,インドネシアならびにインド洋で,沿岸の河口域汽水域マングローブ域に生息する。インド洋北西部では食料燃料として捕獲されることがある。サメ防御網にからまる事故やマングローブ域の開発による生息環境悪化によって,生息数が減少している。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android