改訂新版 世界大百科事典 「シャイアン族」の意味・わかりやすい解説
シャイアン族 (シャイアンぞく)
Cheyenne
北アメリカ大平原に居住するアルゴンキン系言語を話すインディアン。もと五大湖地方西部のミネソタ州付近の森林地帯で小規模な農耕と狩猟・採集に従事していたが,18世紀に西進するオジブワ,スー諸族に圧迫されて大平原に進出した。馬をとり入れ,その機動性を利用してバイソン狩猟を中心とする狩猟民に変質。19世紀後半に土地をめぐって合衆国陸軍と衝突したことで知られる。人口は約5000人(1970)で,モンタナ州とオクラホマ州の保留地に住む。
伝統的には円錐形の大型テント(ティピ)に住む季節的移動民で,バイソンが食料,衣類,テント,道具類の原材料を供給した。婚姻後の居住形態は妻方居住で,母系のバンドが外婚単位をなしていた。44人のチーフからなる部族会議でキャンプの移動,共同狩猟などの重要事項が決定され,殺人と狩猟時の違反行為などの犯罪も裁かれた。戦闘を目的とする戦士の結社などの結社の組織も存在していた。
執筆者:小谷 凱宣
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報