シャロームアライヘム(英語表記)Shalom Aleichem

改訂新版 世界大百科事典 「シャロームアライヘム」の意味・わかりやすい解説

シャローム・アライヘム
Shalom Aleichem
生没年:1859-1916

イディッシュ語近代文学における最大のユダヤ人作家。ショーレム・アライヘムSholem Aleichemともよばれる。本名はラビノビチShalom Rabinovich。ロシアのウクライナ地方に生まれ,ニューヨークで死去した。東ヨーロッパのユダヤの民衆生活を,ユーモア風刺で描く物語の名手で,その成功作シリーズ《牛乳屋テビエ》は62ヵ国語に翻訳され,これをミュージカル化した《屋根の上のバイオリン弾き》(1964)はニューヨークでロングランの大当りをとり,映画化もされた。日本では森繁久弥主役を演じ,好評を博した。テルアビブにシャローム・アライヘム記念館がある。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のシャロームアライヘムの言及

【イディッシュ文学】より

…19世紀,ユダヤ社会内に近代ドイツ語への転換を図る啓蒙運動が起こったが,東欧ユダヤ人の間ではその反動としてイディッシュ語の洗練化運動が旺盛になり,ユダヤ人の大量東方移動もあって,イディッシュの機能範囲は東欧で大幅に広がった。 近代のイディッシュ文学の基礎を築いたのは,記述言語としての基本文型を確立したメンデレ・モヘル・スフォリムMendele Mocher‐Sforim(1835‐1917)であり,続くシャローム・アライヘム(1859‐1916),イサク・レイブ・ペレツIsaac Leib Peretz(1852‐1915)の精力的な創作活動を通じて着実な開花,発展を見ることになった。メンデレは《不具者フィシュケ》(1888),《ベンジャミン3世の放浪》(1878)で貧困にあえぐ男や夢想に取り憑かれた男の遍歴譚を描き,ユダヤ社会にわだかまる観念主義や偏見を風刺し,シャローム・アライヘムは《イディッシュ人民文庫》(1888‐89)発行によってユダヤ文学興隆に貢献するとともに,《メナヘム・メンドル》(1892),《牛乳屋テビエ》(1894)など,連作の諸短編でロシア圧政下の小村落に住むユダヤ庶民の姿をユーモアと哀感のあふれる文章で活写し,多数の読者を獲得した。…

※「シャロームアライヘム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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