日本大百科全書(ニッポニカ) 「シューバルト」の意味・わかりやすい解説
シューバルト
しゅーばると
Christian Friedrich Daniel Schubart
(1739―1791)
ドイツの詩人、作家、音楽家、ジャーナリスト。牧師・教会音楽指揮者の子としてシュワーベンのオーバーゾントハイムに生まれる。エルランゲンでの学業は借金のため中断、やがてルートウィヒスブルクのオルガン奏者、音楽教師となるが1772年追放される。2年間ハイルブロン、マンハイム、ハイデルベルク、ミュンヘンを放浪。74年、週刊の『ドイツ年代記』の編集者となる。その言論のため王侯の怒りを買い、77年ウュルテンベルクのカール・オイゲン公領へ誘い出され、85年までホーエンアスペルク要塞(ようさい)に拘留された。自作詩にメロディをつけた曲は民衆によく歌われた。シューベルト作曲の『鱒(ます)』は彼の詩作による。王侯の横暴に反対する詩も多く、彼の小品『人間の物語』(1775)は、のちにシラーの『群盗』(1781)に素材と影響を与えた。
[冨田 弘]