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シリア化学兵器問題 しりあかがくへいきもんだい

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知恵蔵2015の解説

シリア化学兵器問題

内戦状態に突入したシリアで、数度にわたって化学兵器が使用された問題。2011年以降、シリアではイスラム教アラウィ派アサド政権とスンニ派を中心とする反体制派の武力対立が続いている。解決の糸口が見えない中、13年3月、英国とフランスが共同で「12年8月以降、アサド政権が複数回にわたり化学兵器を使用している」という報告書を国連に提出し、シリアを巡る国際社会の緊張が一気に高まった。13年4月、アメリカ情報機関もアサド政権がサリンを使用した疑いが強いという分析結果を公表。それまで軍事介入に消極的だったオバマ政権も「一線を越えた」として、シリアに対する軍事行動を示唆した。これに英国や旧宗主国のフランスも同調したが、シリアと友好関係にあるロシアは確たる証拠がないとして、米英仏を批判。アサド政権も化学兵器の保有は認めたものの、政府軍の関与については全面否定し、サリン使用は反体制派によるものと反論した。
その後、国連調査団が首都ダマスカス近郊を中心に実態調査を行い、13年8月21日(現地時間)に化学兵器が使用されたことを確認した。ただし、調査の性格上、政権側と反体制側のどちらが使用したのかは特定していない。一方、米政府も独自の調査を行い、アサド政権による化学兵器の使用で少なくとも1429人が死亡したという報告書を同月30日に公表した。しかし、アメリカの世論・議会は軍事介入に消極的で、英国でも議会が武力行使を否決している。
大国の足並みがそろわない中、翌9月にロシアがシリアの化学兵器を国際的な管理のもとで廃棄していくことを提案。合わせてシリアが化学兵器禁止条約(1997年発効の国際条約)に加盟することも提案した。これにアメリカも大枠で合意。9月27日、国連安保理もシリアに化学兵器廃棄を求める決議を全会一致で採択した。アサド政権がこの決議を受け入れる姿勢を示したことから、今後は化学兵器禁止機関(OPCW)が兵器・施設の査察・廃棄作業を担うことになる。

(大迫秀樹  フリー編集者 / 2013年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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