ジャコビニア(英語表記)Jacobinia

改訂新版 世界大百科事典 「ジャコビニア」の意味・わかりやすい解説

ジャコビニア
Jacobinia

キツネノマゴ科サンゴバナJacobiniaに属する草本もしくは亜低木で,熱帯アメリカに約40種を産し,このうち日本ではサンゴバナをはじめ3~4種が鉢花としてつくられる。茎は直立性で,葉は全縁で対生し,頂部に赤・桃・黄色などの細い管状花を密散あるいは穂状花序につける。近縁の属にキツネノマゴ属Justiciaがある。サンゴバナJ.carnea Nichols.はブラジルの原産。高さは2mほどになり,茎は角ばる。葉は対生し,暗緑色卵形先端がとがる。花は夏のころ,頂部に密錐花序でつき,肉色で,花冠は長さ5cmくらい。ウスイロサンゴバナJ.pohliana Benth.et Hook.もブラジルの原産で,葉姿は前種に近似するが,葉の色彩が紫色がかった緑色を呈し,花は深紅色で軟毛がある。性質は強く,冬は3~5℃以上を保つが,花を見るには15℃前後が必要。真夏だけは日陰に置くが,それ以外の季節は日当りでよい。培養土は腐葉土の多い軽い土がよい。繁殖は挿木により,初夏のころに行う。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ジャコビニア」の意味・わかりやすい解説

ジャコビニア
Jacobinia

キツネノマゴ科の1属で多年草または低木。熱帯アメリカに 20~40種ほど知られ,観賞用に温室に栽培する。直立性で,高さ 1m前後のものが多く,卵形または卵状長楕円形の葉を対生する。代表的な種類はサンゴバナ J. carneaで高さ 60~150cmの低木となり,花は茎頂に頭花状に密生し,花冠は紫紅色または肉色で,長さ約 5cmの唇形花冠で先端は上下両唇に分れる。日本には江戸時代に渡来したといわれるが,園芸界では旧属名のジュスチシア Justiciaと呼ばれることが多い。

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