スイレン科(読み)すいれんか(英語表記)Nymphaeaceae

日本大百科全書(ニッポニカ) 「スイレン科」の意味・わかりやすい解説

スイレン科
すいれんか
[学] Nymphaeaceae

双子葉植物、離弁花類。すべて水生草本である。葉は単葉で、盾状葉となるものが多い。花は大きなものが多く、多数の花弁雄しべがある。萼片(がくへん)は3~6枚。心皮は2ないし多数でスイレン亜科では合着し、子房は上位、周位、下位とある。ジュンサイ亜科では心皮は離生し、子房は上位である。世界中の熱帯から温帯に広く分布し、8属約100種がある。スイレンコウホネオオオニバスなど花の美しい植物が多く、植物園や庭園の池に観賞用としてよく栽培される。また多くの種がアルカロイドを含み、薬用植物としても重要である。APG分類ではジュンサイ属とハゴロモモ属がジュンサイ科(ハゴロモモ科、Cabombaceae)として独立している。

[伊藤元巳 2018年6月19日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スイレン科」の意味・わかりやすい解説

スイレン科
スイレンか
Nymphaeaceae

双子葉植物キンポウゲ目の1科。淡水中に生じる水草で,世界の熱帯から温帯,さらに亜寒帯にかけて7~8属約 100種があるが,このうちスイレン Nymphaea,コウホネ Nuphar両属だけを狭義のスイレン科とし,ほかのハス Nelumbo,オニバス Euryale,ジュンサイ Braseniaなどの各属をそれぞれ別々の科として独立させることもある。しかし,いずれも沈水または浮水性の多年草で,多数のめしべおしべを螺旋状に配列する花をもち,5枚ないし多数の花弁のある,いわゆる多心皮花をつけるなど多くの共通点があり,原始的な被子植物群と考えられている。最大の属はスイレン属で新旧両大陸の熱帯地方に多く,ハス属は西アジアに1種,オオオニバス属 Victoriaは南アメリカに2種が特産する。コウホネ属は冷温帯にまで分布する。

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世界大百科事典(旧版)内のスイレン科の言及

【スイレン】より

…熱帯性種は温帯地域では冬季温室内で保護する。【柳 宗民】
【スイレン科Nymphaeaceae】
 スイレン,コウホネジュンサイなどを含む8属,約100種からなり,世界中の熱帯から温帯にかけて分布する。すべて水生植物である。…

※「スイレン科」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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