温帯と寒帯の中間域をさし、気温によって区分した場合の気候帯の一つ。冷帯ともいい、冷温帯も同じと考えてよい。極側はツンドラと接し、赤道側は温帯に漸移する地域をさす。ケッペンの気候区分では、最寒月の平均気温が零下3℃未満、最暖月の平均気温が10℃以上で、ほぼ北緯40度以北の東部ヨーロッパ、シベリア南部から中国東北部、華北、北海道、北アメリカのプレーリー北部、五大湖地方など北極圏以南の地域に相当する。南半球では対応する場所が大部分海洋のため存在しない。狭義には北半球の高緯度地方の針葉樹林帯(タイガ)と同義語として使われることもあるが、その場合は南部の落葉広葉樹林帯を冷温帯とよんで、区別する。冬は長く、寒さも非常に厳しく、南極大陸以外ではもっとも寒冷な地域で、北半球の寒極(気候的な北極で、シベリア北東部)が存在する。河川の凍結期間や積雪期間は数か月に達する。しかし夏は短いながらも気温がかなり上昇し、生育期間の短い作物がかなり高緯度まで栽培されている。春と秋はきわめて短い。タイガ地帯にはクロテン、キツネなどの毛皮獣が多く、これらの狩猟から開発が始まったが、近年は木材、パルプ材としての大規模な開発が行われ、スカンジナビア諸国やカナダはパルプや紙の世界的供給地である。タイガ地帯の南には雨の少ない地方があり、世界の穀倉といわれる春小麦地帯の一部を形成している。
[山下脩二]
日本では垂直分布の亜高山帯に相当し、北方針葉林(針葉樹林)の発達する北海道中部以北の地域とされることが多いが、本来は、寒帯周辺に位置し、高木林の限界と寒帯(ツンドラ)との間にある植生帯をさす。矮性(わいせい)のカンバ類、矮性のヤナギ類、クロマメノキ類などの低木群落が主体である。ユーラシア大陸ではラップランドからシベリアにかけて、北アメリカ大陸ではアラスカからカナダにかけて広がる。したがって、北方針葉樹林帯は、冷帯とよぶのが適当であろう。
[大場達之]
温帯と寒帯の中間域を指し,北半球高緯度地方の針葉樹林(タイガ)帯とほぼ同義でもある。南半球では対応する場所に陸地がない。ケッペンの気候分類では最寒月の平均気温が-3℃以下で,最暖月平均気温が10℃以上と定義されている。冬は長く,夏は短いが,気温が相当上がり,降水量は少ないが,蒸発量も少ないので植物は生育できる。気温の年較差が大きいのが特徴。なお,亜寒帯と冷帯,冷温帯を同義語として扱う人もいるが,温帯(広義)の高緯度地方を冷帯,冷温帯ということが多い。
執筆者:山下 脩二
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