コウホネ(読み)こうほね

日本大百科全書(ニッポニカ) 「コウホネ」の意味・わかりやすい解説

コウホネ
こうほね / 川骨
[学] Nuphar japonica DC.
Nuphar japonicum DC.

スイレン科(APG分類:スイレン科)の多年生水草。日本各地や朝鮮半島の池や川に生育する。6~9月に黄色の花を開く。庭園などで栽培される例もある。和名は、根茎の色や形が骨に似ているところからつけられた。根茎は白色海綿質で泥中に横たわる。水上葉は水面から抜き出て、葉身は長卵形、基部は矢じり形になり、長さ20~30センチメートル。浮葉となることもある。水中葉は細長く膜質で縁は波打つ。花は根茎から出る長い花柄上に1個頂生し、径4~5センチメートル。萼片(がくへん)は5枚、花弁状、黄色で宿存する。花弁、雄しべは小形で螺旋(らせん)状に多数つく。子房は上位で多数の室に分かれ、各室の側壁に多数の胚珠(はいしゅ)をつける。コウホネ属の植物は日本に4種生育し、ヒメコウホネN. subintegerrima (Casp.) Makino(N. subintegerrium Makino)は、水上葉が水面に浮かび広円形、長さ6~11センチメートル、花はコウホネに比べ小形で、本州、四国に分布する。

[伊藤元巳 2018年6月19日]

薬用

根茎を乾燥すると暗褐色の骨状となるため、漢方では根茎を川骨(せんこつ)と称し、健胃、強壮、止血、浄血剤として産前産後の病、神経衰弱月経不順外傷等の治療に用いる。根茎はアルカロイドを含有する。

[長沢元夫 2018年6月19日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コウホネ」の意味・わかりやすい解説

コウホネ(河骨)
コウホネ
Nuphar japonicum

スイレン科の多年生の水草。カワホネともいう。日本各地の池沼中に生じる。根茎は水底の泥中を横走し,その先端部から葉が出る。葉は円柱形の葉柄があり水面上に突き抜けて葉を出す。葉身は長卵形ないし長楕円形で先はとがり,基部は鏃 (やじり) 形をしている。しばしば細長い沈水葉も生じる。夏に,葉柄よりも長く,円柱形の花柄をもつ径 5cmほどの黄色の花が咲く。花は花弁状化した萼片5枚と多数の小型の花弁,おしべ多数が螺旋状に並び,その中心に広卵形の1子房がある。子房の頂部は盤状 (柱頭盤) をなし,放射上に柱頭が並ぶ。北海道や本州北部には別種のネムロコウホネ N. pumilumがあり,葉はスイレンのように水面に浮び,柱頭盤はやや赤みを帯びる。北半球の冷温帯に広い分布をもつ種である。

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