改訂新版 世界大百科事典 「スヘルデ川」の意味・わかりやすい解説
スヘルデ[川]
Schelde
北フランスのサン・カンタン付近の台地に発して,ベルギー北西部を横切り,オランダで北海に注ぐ川。フランス語ではエスコーEscaut川。全長355km。本・支流に沿って,アントワープをはじめ,ヘント,トゥールネ,バランシエンヌ,リールなどの都市が発達。河口付近は砂州が多く,6万5000載貨重量トン以上の外航船の航行は困難である。上流の北フランス工業地帯では1350トンまでの艀(はしけ)が航行できるが,アントワープ~ペロンヌ間は600トン級に限られ,内陸水路としての価値は低い。このため目下,2000トン級の内航船を通す改修工事が始められている。スヘルデ河口付近はオランダ独立戦争以来オランダが領有し,このためアントワープ港への船の出入をめぐって過去2度にわたり国際紛争が生じたが,1863年にベルギーがスヘルデ河口の通行権をオランダから買い取ることで解決をみた。
執筆者:石坂 昭雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報