スベトカゲ(英語表記)brown skink

改訂新版 世界大百科事典 「スベトカゲ」の意味・わかりやすい解説

スベトカゲ
brown skink

爬虫綱スキンク科のトカゲのうち小型で体鱗の滑らかなものの一群。170種以上を含む大きなグループで,分類がむずかしく研究者によって諸説がある。アジア,アフリカ,オーストラリア,北アメリカに広く分布し,全長10~30cmくらい。胴は円筒形で細長く,四肢が退化してひれ状になったものもある。日本には4種が分布し,対馬産のツシマスベトカゲScincella vandenburghiと宮古島,八重山列島産のサキシマスベトカゲS.boettgeriは,ともに全長13cm以下の小型。体鱗は滑らかで光沢があり四肢が小さい。下まぶたの大部分は透明な膜からなり,まぶたを閉じても外が見える。森林周辺部の落葉が堆積した林床や倒木の下に多く,行動はすばやい。餌は小昆虫やクモ類。小笠原諸島,鳥島に分布するオガサワラトカゲCryptoblepharus boutoniiは尾が細長く,眼がヤモリのように固着した透明な下まぶたで覆われる。南西諸島の硫黄島から沖縄諸島に分布するヘリグロヒメトカゲAteuchosaurus pellopleurusは形態,生態ともにサキシマスベトカゲに似るが,頭部うろこのようすが異なる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「スベトカゲ」の意味・わかりやすい解説

スベトカゲ
すべとかげ
brown skink

爬虫(はちゅう)綱有鱗(ゆうりん)目スキンク科スベトカゲ亜科に属するトカゲの総称。この亜科Lygosominaeの仲間は、アジア、アフリカ、オーストラリア、北アメリカに170種以上が分布し、全長10~30センチメートルほどと小形で体鱗が滑らかである。胴は円筒状で細長く、一部では四肢が退化してひれ状となる。日本には3属4種が分布し、そのうち八重山(やえやま)列島産のサキシマスベトカゲScincella boettgeriと対馬(つしま)産ツシマスベトカゲS. vandenburghiの下眼瞼(がんけん)の一部は、透明な膜質の鱗(うろこ)である「窓」discとなっている。ヘリグロヒメトカゲAteuchosaurus pellopleurusは南西諸島に広く分布している。全長が12センチメートルほどの小形な種である。

[松井孝爾]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スベトカゲ」の意味・わかりやすい解説

スベトカゲ
Scincella reevesii; Asiatic brown skink

トカゲ目トカゲ科。体長 10cmぐらいの小型のトカゲ。背面は光沢のある褐色で,体側に黒い縦条がある。四肢は細くて短いが,指は完全。林の辺縁部などに多い。東アジアに広く分布し,いくつかの地方型に分れる。日本には,対馬のツシマスベトカゲ S.r.vandenburghi八重山諸島のサキシマスベトカゲ S.r.boettgeriの2亜種がいる。

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