セマルハコガメ(読み)せまるはこがめ(その他表記)Asiatic box turtle

日本大百科全書(ニッポニカ) 「セマルハコガメ」の意味・わかりやすい解説

セマルハコガメ
せまるはこがめ
Asiatic box turtle
[学] Cistoclemmys flavomarginata

爬虫(はちゅう)綱カメ目ヌマガメ科のカメ。同科ハコガメ属に含まれ、八重山列島(やえやまれっとう)の石垣島、西表島(いりおもてじま)および台湾に分布し、中国大陸産は亜種に分けられる。甲長13~17センチメートル、背甲は高くて丸みを帯び3条の鈍い隆起がある。腹甲は胸骨板と腹骨板の間が完全な蝶番(ちょうつがい)状となり、前半部と後半部を持ち上げることができる。驚くと、頭部四肢、尾を引っ込めたあと、腹甲ですきまに完全に蓋(ふた)をする。飼育下で人間になれるとあまり蓋をせず、また肥えすぎると蓋が閉まらなくなる。森林やその周辺の湿った場所にすみ、ほとんど水に入らないが泳げる。6~8月ごろ2~5個ほどを産卵する。1972年(昭和47)国の天然記念物に指定されている。

[松井孝爾]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「セマルハコガメ」の意味・わかりやすい解説

セマルハコガメ
Cyclemys flavomarginata

カメ目カメ科。甲長 13~16cm。背甲は黒褐色あるいは紫がかった暗褐色で,それぞれの鱗板に褐色斑紋がある。腹側の甲の前半部と後半部とがちょうつがいで連結されていて,頭や尾を引込めると甲を完全に閉じることができるのでハコガメ (箱亀) の名がある。これは外敵に対する防御乾燥への抵抗に役立っていると考えられている。陸生で,森林の下草の間などにみられる。石垣島,西表島,台湾などに分布する。

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世界大百科事典(旧版)内のセマルハコガメの言及

【ハコガメ(箱亀)】より

…ハコガメの特徴は腹甲の胸甲板と腹甲板とがちょうつがいhingeで可動的に連結していることで,驚くと頭頸(とうけい)部,四肢,尾部を甲内に引っ込めたあと,腹甲の前・後半部をもち上げて,甲の隙間にぴったりとふたをしてしまう。石垣島,西表島,台湾,中国に分布するセマルハコガメCistoclemmys flavomarginata(イラスト)は甲長14~17cm,背甲はやや高く,陸生で森林の湿った場所に多い。雑食性で餌は昆虫,ミミズ,果実など。…

※「セマルハコガメ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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