水の沸点を100度、氷の融点を0度とし、この間を100等分した温度目盛り。摂氏温度目盛りともいう。記号は℃で、温度の単位としてもっとも普通に用いられる。1742年にスウェーデンの天文学者・物理学者のセルシウスがフランスのクリスティンJ. P. Christine(1683―1755)とほぼ同時期に考案し、実用化したとされ、彼にちなんでこの名がついている。セルシウスは当初、水の沸点を0度、氷の融点を100度としていたが、のちにスウェーデンのウプサラ大学のリンネほかの人がこの目盛りを逆転したといわれる。イギリスではもともとセンチグレード目盛りとよんでいたが、1948年にこの呼び方をやめた。国際単位系(SI)では基本単位の熱力学温度にケルビン(K)をとっているが、セルシウス度を併用してよいことにしている。また国際標準化機構(ISO)では「セルシウス温度」という物理量をおこし、その単位をセルシウス度としてケルビンと併用することにしている。絶対温度ケルビンTとセルシウス度tの間には、次の関係がある。
T=t+273.15
(水の三重点温度が、正確には0.01℃であることが、明確になったためである。)
[小泉袈裟勝・今井秀孝]
温度の単位の一つ。ケルビンを単位として測った熱力学温度の値がTKであるとき,t=T-T0(T0=273.15K)で定められる値をその温度のセルシウス温度Celsius temperatureと呼び,セルシウス温度の単位をセルシウス度という。記号は℃。摂氏温度,セ氏温度ともいう。
セルシウス温度のゼロ点(0℃)は,熱力学温度の273.15Kの点に設けられているわけで,0℃=273.15Kであるが,両者の単位(セルシウス度とケルビン)とは等しいから,単位に関しては1℃=1Kである。セルシウス度は,国際単位系の組立単位の一つである。計量法ではこれを〈度〉という。
スウェーデンの物理学者A.セルシウスが,1742年に提案した温度目盛(当初は氷点を100,1気圧下の沸点を0としていた)を出発点として,摂氏温度目盛という名の目盛がいくつか用いられてきたが,この名は過去のものと解すべきである。
執筆者:高田 誠二
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
(今井秀孝 独立行政法人産業技術総合研究所研究顧問 / 2008年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
…18世紀ころからは,各地の気温を比較する必要などのため,定量的測定の可能な目盛のある温度計が作られるようになり,氷の融点などを温度の定点とする提案がなされた。G.D.ファーレンハイトは1717年ごろに水銀温度計を製作し,水,氷,食塩を混ぜて得られる温度を0度,氷の融点を32度,体温を96度とする華氏温度目盛を考案し,42年にはA.セルシウスが氷の融点を0度,水の沸点を100度とする摂氏温度目盛(セルシウス度)を導入した。以後,温度計と温度目盛の改良は熱学の発展を促すことになった。…
…ウプサラに戻ってからは,星の光度測定や温度計の2定点法の提唱などを行った。後者は現在のセルシウス度の原型となったものである。ただし彼の2定点法は,水の沸点を0,凝固点を100とするものだった。…
※「セルシウス度」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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