三重点(読み)さんじゅうてん(英語表記)triple point

翻訳|triple point

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

三重点
さんじゅうてん
triple point

一つの物質気相液相固相が同時に共存し,熱平衡にある状態。温度圧力も一定であることから,かつて温度目盛りの定義定点に採用され,絶対温度目盛りは水の三重点を 273.16Kとして定義されていた(→絶対温度)。また水素酸素アルゴン,水などの三重点は,国際実用温度目盛りの定義定点として,その温度が指定されている。一成分系相律により自由度 2であるから,温度と圧力を座標軸にもつ平面図で表すことができる。領域 Gは気Lは液相,Sは固相を表し,各領域の境界線は GL間が蒸発曲線,LS間が融解曲線,SG間は昇華曲線と呼ばれる。これら 3曲線は 1点で交わり,その交点が三重点である。三重点では自由度がゼロであって,温度と圧力が定まった値をとる。蒸発曲線は高温・高圧側に終点をもつ。この点を臨界点といい,温度と圧力が定まった値をとる。

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百科事典マイペディアの解説

三重点【さんじゅうてん】

1成分からなる系で3相(気相,液相,固相)が共存する状態,すなわち状態図において3相が平衡にある点をいう。たとえば水の場合,液体の水と水蒸気が共存する点で,温度0.01℃,圧力610.6Paの点がこれに当たる。
→関連項目国際実用温度目盛絶対温度氷点

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岩石学辞典の解説

三重点

一成分系の状態図で,気相,液相,固相が平衡にある点.三相が同時に共存する点.

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世界大百科事典 第2版の解説

さんじゅうてん【三重点 triple point】

1成分からなる系で,その気相,液相,固相の三つの相が平衡に共存する状態。すなわち,状態図で気相‐液相,液相‐固相,気相‐固相の3本の共存線が一つに集結する点である。相律によって,三重点では自由度は0であり,物質を与えれば温度も圧力も決まる。水の三重点は温度0.01℃,圧力4.58mmHg(0.006atm)で,氷,水,水蒸気が安定に共存するが,この温度は絶対温度目盛の基準点(273.16K)に定められている(図)。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

三重点
さんじゅうてん
triple point

物質の相の間の平衡を示す状態図で、成分が一つの系(一成分系)の場合、三つの相が共存する状態をいう。たとえば、水の場合はのような状態図が得られる。Ⅰの領域では水蒸気のみが、Ⅱの領域では水、Ⅲの領域では氷のみが存在する。これらの境になっているTC、TB、TAの曲線上では、それぞれ、水と氷、水と水蒸気、水蒸気と氷の二つの相が共存する。したがってこの三つの曲線の交点Tでは、水、氷および水蒸気の三つの相が共存し、これが三重点である。水の場合、この点の温度は0.0075℃、圧力は水銀柱4.58ミリメートルである。

[戸田源治郎]


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精選版 日本国語大辞典の解説

さんじゅう‐てん サンヂュウ‥【三重点】

〘名〙 不純物を含まない物質の気相、液相、固相の三つの相が平衡に共存する状態。水の場合は、温度〇・〇〇七五度C、圧力四・八五ミリメートル。〔数学ニ用ヰル辞ノ英和対訳字書(1889)〕

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化学辞典 第2版の解説

三重点
サンジュウテン
triple point

一つの物質の三つの相が平衡状態で共存する条件(温度と圧力)を示す状態図中の点,あるいはその温度をいう.一成分三相系であるから,この系は相律により自由度は0,すなわち不変系である.水蒸気,水および氷が共存する,水の三重点の水蒸気圧は610.6 Pa,温度は氷点より0.01 ℃ 高い273.16 K である.三つの相は必ずしも気,液,固には限らず,単体硫黄では蒸気,斜方晶系固体,単斜晶系固体,および液体の四相について四つの三重点がある.平衡水素,酸素,水の三重点,そのほかいくつかの単体や化合物の三重点は温度の定点として利用される.

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世界大百科事典内の三重点の言及

【液体】より

…つまり,状態図はまずは固体と気体に二分されていて,液体はそのはざまに気体に寄生する形で存在している。Tは三重点,Cは臨界点と呼ばれ,純粋な物質に固有の定点である。 1対の分子の相互作用が球対称のポテンシャルで表されるとき,分子が丸いという。…

【温度定点】より

…それでも,厳密にいえば,不純物の混入や圧力の変動の影響で,温度の変わるおそれがある。そこで現在では,純粋な物質の三重点(固相,液相,気相が共存する状態)を利用することが多くなった。水の場合なら,清浄なガラス容器に純粋な水を入れ,排気したのち容器を密封し,一部分を冷やすと氷ができて,それと液体の水と気体の水蒸気とが共存する状態,すなわち水の三重点が実現され,0.0001K以内に一定した温度が得られる。…

【状態図】より

…液相‐固相の境界線(融解曲線という)は,右上がりになるのがふつうであるが,水H2Oなどのように固体の結晶構造によって逆の傾き(図1の破線)をもつ場合もある。気相,液相,固相の三つの相が共存する点Aは三重点,気相‐液相の境界線(蒸気圧曲線)の端点Bは臨界点と呼ばれる。また気相‐固相の境界を昇華曲線という。…

※「三重点」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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