岩石学辞典 「ソレー効果」の解説
ソレー効果
温度勾配による濃度勾配が生じると濃度拡散が起こる.濃度拡散と温度勾配によるソレー効果とが平衡状態に達する場合には拡散平衡となる.またソレー効果と,温度勾配を解消する方向に物質が移動する対流とは相反する効果で,物質は逆方向に移動して拡散平衡の状態に達する.しかしマグマの内部で拡散が行われて平衡状態となるためには静穏であることが必要であって,実際のマグマ内部が静穏で対流が全くないことは困難であり,ソレー効果がマグマの分化作用で重要な働きをすることはない.ティールが岩石学にソレー効果を応用し,ボーエンがソレー効果に触れている[Teall : 1888, Bowen : 1921].
その後ワールとバートがプリビロフ(Pribilof)島の変成作用でソレー効果を扱った例がある[Wahl : 1946, Barth : 1952].大洋中央海嶺玄武岩マグマにソレー効果による分離が認められたという考えがあるが,これには反対意見がある[Walker & DeLong : 1982, 1984, Elthon & Casey : 1984].