日本大百科全書(ニッポニカ) 「バート」の意味・わかりやすい解説
バート(Thomas Fredrik Weiby Barth)
ばーと
Thomas Fredrik Weiby Barth
(1899―1971)
ノルウェーの岩石学者。ボルソイに生まれ、オスロ大学でブレッガーWaldemar C. Brøgger(1851―1940)、ゴルトシュミットの指導を受けた。1927年「ノルウェー北部の霞石閃長(かすみいしせんちょう)岩ペグマタイトの岩石学的、鉱物学的研究」で学位をとった。ベルリン大学とライプツィヒ大学の助教授(1927~1929)、ワシントンのカーネギー研究所の研究員(1929~1936)、オスロ大学の岩石学の教授(1936~1946)、シカゴ大学の地球化学の教授(1946~1948)、オスロ大学教授・鉱物学地質学博物館館長(1948)を歴任した。鉱物学、結晶学、岩石学、地球化学など多方面にわたる論文を200編以上発表し、長石にはとくに関心を寄せていた。『岩石の生成』Die Entstehung der Gesteine(1939年。P・エスコラらと共著)、『理論岩石学』Theoretical Petrology(1952)の2冊は、一時期日本の地質学者たちの手引書であった。トムバート石(イットリウムを含む含水珪酸塩(けいさんえん)鉱物)という鉱物は彼にちなんで名づけられた。
[千葉とき子 2018年10月19日]
バート(Sir Cyril Lodowic Burt)
ばーと
Sir Cyril Lodowic Burt
(1883―1971)
イギリスの心理学者。イングランドのストラトフォード・アポン・エイボンで生まれる。オックスフォード大学のマクドゥーガルのもとで心理学を学び、1906年理学博士を取得。ドイツに留学ののち、リバプール大学心理学講師を経てケンブリッジ大学やロンドン大学、またユニバーシティ・カレッジなどの教授を歴任。研究領域は主としてメンタルテストおよび統計的処理の領域であり、ビネーの知能検査のイギリス版をつくり、1930年代に因子分析を発展させた心理学者の一人である。1946年にはナイトに叙せられたが、晩年は研究データの信憑(しんぴょう)性について批判を受けた。著書は『Mental and Scholastic Test』(1921)、『The Subnormal Mind』(1935)など。
[宇津木保]