改訂新版 世界大百科事典 「タングステン酸塩鉱物」の意味・わかりやすい解説
タングステン酸塩鉱物 (タングステンさんえんこうぶつ)
tungstate mineral
錯陰イオンの(WO4)2⁻と陽イオンによって構成されている鉱物で,陽イオンをMとすると化学組成は一般にMWO4と表される。タングステン酸塩鉱物は結晶系のちがいから灰重石群と鉄マンガン重石群に分けられている。灰重石群の鉱物には灰重石CaWO4,銅重石cuproscheelite CuWO4,鉛重石stolzite PbWO4などがあり,すべて正方晶系に属する。タングステンの一部をモリブデンが置きかえたものも存在し,灰重石には銅重石成分が部分的に固溶する。鉄マンガン重石群には単斜晶系の鉄重石FeWO4,鉄マンガン重石(Fe,Mn)WO4,およびマンガン重石MnWO4が属し,鉄重石とマンガン重石の間は連続固溶体である。そのうち,鉄重石分子が100~80%のものを鉄重石ferberite,80~20%のものを鉄マンガン重石,20~0%のものをマンガン重石huebneriteという。タングステン酸塩鉱物は花コウ岩の貫入にともなうペグマタイト,石英脈,グライゼン,接触交代鉱床,熱水鉱脈などに産出する。タングステンの主要資源。
執筆者:青木 義和
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報