鉄重石(読み)テツジュウセキ(英語表記)ferberite

デジタル大辞泉 「鉄重石」の意味・読み・例文・類語

てつ‐じゅうせき〔‐ヂユウセキ〕【鉄重石】

タングステン酸塩鉱物。亜金属光沢をもつ黒色板状結晶単斜晶系。タングステンの重要な鉱石

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精選版 日本国語大辞典 「鉄重石」の意味・読み・例文・類語

てつ‐じゅうせき‥ヂュウセキ【鉄重石】

  1. 〘 名詞 〙 鉄とタングステンの酸化物成分とする鉱物。黒色・不透明で光沢がある。単斜晶系。板状、柱状などの結晶または塊状で鉱脈中に産する。タングステンの鉱石。〔英和和英地学字彙(1914)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「鉄重石」の意味・わかりやすい解説

鉄重石
てつじゅうせき
ferberite

タングステン(W)の鉱石鉱物の一つ。主として気成鉱脈ないし高温熱水鉱脈鉱床中に産し、石英を脈石鉱物とする。少量のマンガン(Mn)を含み、鉄マンガン重石と化学組成上連続する。鉄(Fe)とマンガンの比が4:1より鉄に富むものをさす。一時は正タングステン酸第一鉄塩のように考えられていたが、その原子配列はタングステン酸基としての条件を満たしていない。すなわち6価のタングステンイオンの周囲の酸素の配位数が6で、WO4というタングステン酸に相当する原子団をつくっていないため、現在は複酸化物とみなされている。自形は斜方板状で、錐(すい)面が発達する。兵庫県生野(いくの)鉱山閉山)、同明延(あけのべ)鉱山(閉山)、栃木県足尾鉱山(閉山)などに産した。英名はドイツの鉱物学者ファーバーMoritz Rudolph Ferber(1805―1875)にちなむ。

加藤 昭 2017年9月19日]


鉄重石(データノート)
てつじゅうせきでーたのーと

鉄重石
 英名    ferberite
 化学式   FeWO4
 少量成分  Mn,Mg
 結晶系   単斜(擬直方)
 硬度    4~4.5
 比重    7.60
 色     黒
 光沢    亜金属
 条痕    黒
 劈開    一方向に完全
       (「劈開」の項目参照

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世界大百科事典(旧版)内の鉄重石の言及

【タングステン酸塩鉱物】より

…タングステンの一部をモリブデンが置きかえたものも存在し,灰重石には銅重石成分が部分的に固溶する。鉄マンガン重石群には単斜晶系の鉄重石FeWO4,鉄マンガン重石(Fe,Mn)WO4,およびマンガン重石MnWO4が属し,鉄重石とマンガン重石の間は連続固溶体である。そのうち,鉄重石分子が100~80%のものを鉄重石ferberite,80~20%のものを鉄マンガン重石,20~0%のものをマンガン重石huebneriteという。…

※「鉄重石」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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