水などの揮発性成分に富むマグマ残液に関連して生成する鉱床。マグマ固結の過程(マグマ結晶分化作用ともいう)で、マグマから親石元素は珪(けい)酸塩鉱物として、親鉄元素、親銅元素、親金元素はそれぞれ酸化鉱物、硫化鉱物、単体鉱物として晶出する。マグマ固結の末期には、マグマ残液は水H2O、二酸化炭素CO2や硫化水素H2Sの流体のほかに、フッ素F、塩素Cl、それにリチウムLi、ホウ素Bなどの揮発性成分に富んでくる。この理由によりマグマ残液は、高い蒸気圧をもつ流体でマグマ頂部に濃集する。また、揮発性成分に富む流体はマグマ残液濃集帯周辺の母岩のクラック中に濃集する傾向ももつ。これらの鉱化作用により鉱床母岩(とくに花崗(かこう)岩頂部)の変質帯やその周辺部の鉱脈中に、電気石、鱗雲母(りんうんも)(リチア雲母)、黄玉(おうぎょく)(トパーズ)、スカポライト、蛍石(ほたるいし)、斧石(おのいし)などの気成鉱物が生成する。気成鉱物に伴って、石英、緑柱石、錫石(すずいし)、タングステン鉱物(灰重石、タングステン重石)などが一般的に随伴することも気成鉱床の特徴である。
[金田博彰]
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…鉱化流体は高温(200~600℃程度)であるが,常温の水に近い比重をもち,ガス状よりもむしろ液状に近いもので,地殻内を流動する高温水(熱水)の一つである。後マグマ鉱床のうち,とくにハロゲンやホウ素などを含む鉱物が濃集する鉱床は,気体に近い物性をもつ鉱化流体から形成されたと考えられ,気成鉱床とよばれた。しかし現在では鉱化流体は液体に近い物性をもつことが知られており,気成鉱床も熱水鉱床の一種と考えてよい。…
…このため近年では鉱床を生成する流体を一般に鉱化流体とよぶようになった。古くは,純水の臨界温度(約374℃)より高温の熱水は,その物理的性質がガスに近い状態であると考えられ,そのような流体から生成したと思われる鉱床を気成鉱床pneumatolytic depositとよんで熱水鉱床から区別していた。しかし通常の鉱化流体はかなりの塩類を溶解しており,その臨界温度は純水の場合よりかなり高い。…
※「気成鉱床」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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