改訂新版 世界大百科事典 「チェルシー磁器」の意味・わかりやすい解説
チェルシー磁器 (チェルシーじき)
イギリスの最初の軟質磁器およびその窯。1743年ころ,化学者トーマス・ブリアン,銀細工師ニコラス・スプリモントによってロンドンのテムズ河畔のチェルシーChelseaに窯が設立された。開窯期は主として中国の白磁に花文を浮彫装飾したものが作られていたが,50年代から65年にかけてマイセンの影響により柿右衛門様式や伊万里風を模したもの,ならびにロココ風のすぐれた磁器彫像が生産され,チェルシー窯の黄金期を迎えた。しかしスプリモントの死後窯はしだいに衰退し,70年ダービー窯に買収合併され,新たにダービー・チェルシーとして磁器の製作を継続したが,85年ついに閉窯にいたった。チェルシーの窯印は年代順に赤,青,金の錨文が用いられている。
執筆者:前田 正明
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