チェロキー族(読み)チェロキーぞく(その他表記)Cherokee

翻訳|Cherokee

改訂新版 世界大百科事典 「チェロキー族」の意味・わかりやすい解説

チェロキー族 (チェロキーぞく)
Cherokee

北アメリカ南東部のアパラチア山脈南部地方に居住しているイロコイ系の言語を話すインディアン。隣接するクリーク・インディアンの言葉で〈異なる言葉を話す人々〉を意味する。農耕狩猟が主要な食料獲得法であった。北アメリカの植民地建設の初期からヨーロッパ人と衝突したことで知られる。18世紀半ばにまずイギリス人植民者と戦闘状態にはいり,独立戦争当時にも植民者側と対立した。1820年代に独自の政府を樹立し,セコイアSequoyahによる〈チェロキー文字〉(アルファベットをモデルにした文字)の創出など,文化的にも栄えた。しかし,30年代に居住区域内で金鉱が発見され,土地を白人に売却せざるをえなくなった。38年から39年にかけての冬には,現在のオクラホマ州に設置された保留地強制移動させられ,その途中で4分の1の人々が死ぬという悲劇が起こった。この強制移動は〈涙の旅路Trail of Tears〉として知られる。現在,南東部に逃げ帰ったチェロキー族とオクラホマ・チェロキー族とに分かれている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チェロキー族」の意味・わかりやすい解説

チェロキー族
チェロキーぞく
Cherokee

北アメリカ南東部,アパラチア山脈南部に居住するアメリカインディアンの一民族。言語はイロコイ語族に属する。文化的には近隣クリーク族ときわめて近かったが,白人との接触以来,白人の文化を積極的に取入れた。 1821年セコイアという混血青年が音節文字をつくり,北アメリカで唯一の文字をもつ先住民であった。 19世紀後半にオクラホマ州の指定居留地へ強制移住させられた。人口はオクラホマ州に約5万人,ノースカロライナ州に約 3000人と推定される。

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世界大百科事典(旧版)内のチェロキー族の言及

【アメリカ・インディアン】より

…南部のサウス・カロライナ植民地では18世紀初頭以来インディアン奴隷狩りと奴隷貿易がさかんに行われ,そのため部族間の対立と戦争が助長され捕虜の奴隷化が促進された。東部森林文化領域南西部の有力部族であるクリーク族チェロキー族はイロコイ諸族のように植民勢力間の敵対関係を巧みに利用して中立の立場を守ったが,フレンチ・インディアン戦争においてはチェロキー族はイギリスと敵対した。(2)独立革命から南北戦争後まで(1760‐1880年代) 独立戦争では,大半の部族がイギリスと同盟して愛国派軍に対抗した。…

【ボール】より

…〈まり〉が球体を意味する〈まろ(丸)〉の転訛であったように,〈ボールとは丸いもの〉という命題は相当に古くから行われていたらしく,いわゆる未開社会にも知られていたことは,太陽あるいは満月をボールと同一視する彼らの神話から窺うことができる。例えばアメリカ・インディアンのチェロキー族は,ラクロス球技をテーマにした次のような話を伝えている。二つの村の対抗戦ではいつも一方の村が勝っていた。…

【文字】より

…西アフリカのバムン文字は20世紀の初めにつくられ,アラビア文字やローマ字の存在を知りながらまったく関係のない文字をつくりあげているばかりでなく,単語文字に出発して音節文字化したという。アメリカ・インディアンのチェロキー族は19世紀に文字をつくったが,字体からみるとローマ字の大文字・小文字に似たものが多数みとめられながら,個々の字の音価は(たとえばRは[e]を,Tは[i]を,Yは[gi]を表すというように)ローマ字のそれとはまるで関係のない音節を示すものである。また,中国の南西部の少数民族を教化するために,19世紀の末から線と丸の組合せで新しい音節文字が宣教師によって考案され,効果の著しいものがあることが報告された。…

※「チェロキー族」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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