チンデマンス計画(読み)チンデマンスけいかく(英語表記)Tindemans Plan

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チンデマンス計画」の意味・わかりやすい解説

チンデマンス計画
チンデマンスけいかく
Tindemans Plan

1976年1月7日に公表された「ヨーロッパ同盟に関するチンデマンス報告」をさす。作成者のベルギーの L.チンデマンス首相にちなんでこの名で呼ばれる。 74年 12月パリで開かれたヨーロッパ共同体 EC首脳会議の席上,ヨーロッパ石炭鉄鋼共同体 ECSC,ヨーロッパ経済共同体 EEC,ヨーロッパ原子力共同体 EURATOMを統合して「ヨーロッパ同盟」へ発展させるための報告書作成の依頼が,チンデマンス首相に対して行われた。彼は3共同体の提出した報告を基礎に,ECの加盟各国政府との協議を経て報告書を作成,75年 12月加盟各国首相に送った。報告は,(1) 共通ビジョンの確立,(2) 多数決制による閣僚理事会の意思決定,(3) 経済・通貨同盟への前進,(4) ヨーロッパ市民の形成促進,(5) EC議会 (ヨーロッパ議会) ,EC首脳会議,EC閣僚理事会,EC委員会,EC司法裁判所など諸機関の強化,(6) 結論の6章から成る。同報告の意義は,現段階の ECの実情に立脚して,停滞しているヨーロッパ同盟,特にヨーロッパ経済・通貨同盟の実現に向けて現実的なアプローチを提示したところにある。しかしこの計画は 76年 11月ハーグの EC首脳会議で時期尚早とされ,たなあげされた。

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