トナー用色素(読み)となーようしきそ(英語表記)toner colorant

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

トナー用色素
となーようしきそ
toner colorant

電子写真に用いられる機能性色素の一つ。電子写真では、機能性色素が有機光導電体とトナーの、大別して2種の用途で用いられる。前者についての解説は「光電変換材料」の項目を参照されたい。後者のトナーとは、光導電体を用いて作成された静電潜像(現像するまでは目に見えない像)を可視化する(現像する)ために用いる帯電微粉末のことである。トナーに用いられる機能性色素には、黒、シアン、マゼンタ、イエローなどの色調を与える着色剤と、電荷調整剤(CCA:charge control agent)がある。トナー用色素とは、トナーに用いられるこれらの機能性色素のことである。微粉末が帯電することが現像の際に不可欠であるため、帯電性色素とよばれることもある。
 黒色トナーの着色剤としては、カーボンブラックが利用される。トナーを負に帯電させる方式で用いる負帯電性の電荷調整剤として、たとえば、(a)に示すアゾ色素のクロム錯体などがある。実際には、種々の電子求引性置換基を導入して、Na+やH+を対イオンとして使用される。トナーを正に帯電させる方式では、正帯電性の電荷調整剤として、ニグロシンとよばれる構造未知の黒色化合物などが用いられる。カラートナー用の着色剤としては、耐熱性の高い高級顔料(がんりょう)であるβ(ベータ)型銅フタロシアニン(C. I. Pigment Blue 15:1)、ジメチルキナクリドン(C. I. Pigment Red 122)や、ジスアゾイエローAAA(C. I. Pigment Yellow 12。旧名称はジスアゾエローAAA)などが代表的である。
 カラートナーの場合は(a)に示したようなクロム錯体やニグロシンのような有色の電荷調整剤を用いることはできない。無色の電荷調整剤の基本骨格を(b)に示す。[時田澄男]
『大河原信・松岡賢・平嶋恒亮・北尾悌次郎著『機能性色素』(1992・講談社) ▽面谷信監修『CMCテクニカルライブラリー234 トナーと構成材料の技術動向』(2006・シーエムシー出版) ▽Peter Gregory High-Technology Applications of Organic Colorants, §7.5(1991, Plenum Press, New York & London)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

ダブルベーグル

テニス競技において、一方の選手がゲームカウント6-0で2セット連勝することの通称。真ん中に穴が空いたパンの一種であるベーグルの形が数字の「0」に似ていることが語源となっている。1セットの場合は単に「ベ...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android