日本歴史地名大系 「ノボリベツ」の解説
ノボリベツ
のぼりべつ
漢字表記地名「登別」のもとになったアイヌ語に由来する地名。本来は河川の名であったが、コタン名のほか温泉・山・岬などの名称としても記録されている。当地一帯は近代に入り登別村に包含された。仮名表記は「ノボリベツ」（「観国録」「協和私役」など）、「のぼりべつ」（蝦夷迺天布利）のほか「ノホリヘツ」（「東蝦夷地場所大概書」「東行漫筆」、島「入北記」）、「ノボルベツ」（木村「蝦夷日記」など）、「ヌプルベツ」（「蝦夷日誌」一編）、「ヌブルベツ」（板本「東蝦夷日誌」）などがあり、「のぶり別」（享保十二年所附）、「ノボリ別」「登り別」（西蝦夷地日記）、「上り別」（谷「蝦夷紀行」）などの表記もみられる。「ノボルベツ」とする秦「地名考」は語義について「ノホリは山なり。山川と訳す」とする。一方、木村「蝦夷日記」には「河原より硫黄ヲ出ス、川水濁ル故名ツク」（寛政一〇年六月四日条）とある。板本「東蝦夷日誌」は「ヌは湯、ブルは強きにて、温泉強き義共云」と述べる。一帯の地況や河川の様子については「上りベツの出崎海上へ突出て道なし。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報