ハイブリドーマ(その他表記)hybridoma

翻訳|hybridoma

デジタル大辞泉 「ハイブリドーマ」の意味・読み・例文・類語

ハイブリドーマ(hybridoma)

2種類の細胞を融合させ、それぞれ機能を保ったまま増殖する雑種細胞抗体を作るB細胞と、増殖能力をもつ骨髄腫こつずいしゅミエローマ)の細胞とを融合させたものが代表的で、モノクローナル抗体産生利用

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハイブリドーマ」の意味・わかりやすい解説

ハイブリドーマ
hybridoma

種類の異なる2つの細胞を融合して作る雑種細胞。狭義には抗体を産生するB細胞と人工的に培養可能な骨髄腫 (しゅ) 細胞を融合させて作った雑種細胞のことをいう。 1975年 C.ミルシュタインは G.ケーラーとともにマウス脾臓から採取したB細胞とマウスの骨髄腫細胞 (ミエローマ) を融合し,単一の抗体を産生しつつ増殖し続けるハイブリドーマを作成した。産生される抗体は単一な抗体産生細胞が作り出す抗体のコピーであるため,「モノクローナル抗体」と呼ばれる。モノクローナル抗体は人工的に大量に生産することができるため,世界中で同一の抗体を用いて免疫学的研究,応用を行なうことが可能となった。ハイブリドーマを作成する方法 (細胞融合法) としては,主にポリエチレングリコールを用いる方法が用いられてきたが,近年高電圧パルス印加による電気融合法が確立され,次第に普及しつつある。

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栄養・生化学辞典 「ハイブリドーマ」の解説

ハイブリドーマ

 融合雑種腫瘍細胞ともいう.ミエローマ細胞と他の細胞を融合させた細胞.抗体を作るB細胞とのハイブリッド形成によりモノクローナル抗体を作る手法もハイブリドーマを用いる.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のハイブリドーマの言及

【培養】より

…癌研究やウイルス学に加えて,他の研究分野も細胞培養法に負うところが大である。培養細胞を用いた細胞融合は,遺伝的組成の異なる核の融合による雑種細胞hybrid cellの形成を可能にし,ヒトを含めた高等動物の遺伝子発現機構の解析,染色体地図の作製,ハイブリドーマhybridomaの作製など,体細胞遺伝学や細胞工学の発展の基盤となり,それを利用したモノクローナル抗体の産生や細胞表面レセプターの解析,細胞分化や細胞間相互作用の解析などが可能になり,免疫学や発生学の研究に大きく寄与している。そのほか,医療や産業の面でも,羊水から採集した細胞の培養による染色体解析から,胎児の遺伝的異常を予知することが可能であり,ウイルス感染も宿主細胞の単層細胞培養により,量的または質的に検定される。…

※「ハイブリドーマ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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