日本大百科全書(ニッポニカ) 「B細胞」の意味・わかりやすい解説
B細胞
びーさいぼう
免疫機序(メカニズム)に関与するリンパ球の一種であるが、B細胞とT細胞をあわせて説明するほうが適当である。なぜなら、免疫機構において重要な役割を演ずるリンパ球には、その起源と機能とが異なる二つのグループが存在しているという考え方が、現在支配的なためである。骨髄の幹細胞は、胸腺(きょうせん)という場でリンパ球に分化する場合と、胸腺とは無関係に骨髄でのみリンパ球に分化する場合とがあり、前者を胸腺由来という意味で、胸腺ThymusのTをとってT細胞あるいはTリンパ球とよぶのに反し、後者を骨髄由来という意味で、骨髄Bone marrowのBをとってB細胞あるいはBリンパ球とよんでいる。
B細胞とT細胞とでは同じリンパ球であっても、種々の点において異なっているため、リンパ球、あるいはそれを母細胞とする腫瘍(しゅよう)などの疾患の場合、どちらの細胞が主体を占めるかなどの検索が臨床的にも重視されている。B細胞は、免疫反応の場においては抗体グロブリンの産生に関与しているが、その他のB細胞とT細胞との差異についてはT細胞の項に述べたとおりである。
[渡辺 裕]