ハーサニー(読み)はーさにー(英語表記)John Charles Harsanyi

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハーサニー」の意味・わかりやすい解説

ハーサニー
はーさにー
John Charles Harsanyi
(1920―2000)

ハンガリー出身の応用数学、経済学者。ブダペスト生まれ。1947年にブダペスト大学哲学および社会学の博士号を取得し、同大学で教えたが、その後社会主義国となった祖国を離れ、1951年にオーストラリアシドニー大学で修士号、1959年にアメリカのスタンフォード大学で経済学博士の学位を取得した。オーストラリアのシドニー大学、クイーンズランド大学、オーストラリア国立大学、アメリカのスタンフォード大学などを経て、カリフォルニア大学バークリー校教授を務めた。1994年に、J・F・ナッシュ、R・ゼルテンとともに、「ゲーム理論を不完全な情報の場合にも当てはめて飛躍的に発展させた」との理由でノーベル経済学賞を共同受賞した。

 1967年から1968年に「Games with Incomplete Information Played by Bayesian Players」を3回に分けて発表し、ナッシュの情報完備のゲーム理論を情報が不完全な状況でも取り扱えるようにし、ゲーム理論を発展させた。これは不完備情報ゲーム理論とよばれており、ここから導き出される「ベイジアン・ナッシュ均衡」(Bayesian Nash equilibrium)は中央銀行金融政策や寡占的企業規制などの分析に幅広く応用されている。

[金子邦彦]

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