改訂新版 世界大百科事典 「ハーラル1世」の意味・わかりやすい解説
ハーラル[1世]
Harald Ⅰ
生没年:?-931?
ノルウェー最初の統一王。美髪王Hårfagreとも呼ばれる。ウェストフォルの小王ユングリング家に生まれる。伝承によれば西部の一小王の娘に求婚し,一国全体の王としか結婚せぬと拒否され,ノルウェー全土の征服を決意し,そのときまで髪をくしけずらず,切らなかったので〈蓬髪のハーラル〉と呼ばれたが,統一後くしけずると美しい髪となったという。統一事業最後の戦い(ハフルスフィヨルドの戦)は伝承では872年,最近の研究では885年とされる。しかし統一は実際には沿岸部だけで,彼の本拠は南西部にあり,他の地方は彼と姻戚関係を結んだ豪族たちがそれぞれ支配した。ハーラルの統一を,略奪的なバイキングに対して,交易に関与し沿岸航路の安全をはかる必要のあった豪族たちによる協働の結果と考える学説もある。
執筆者:熊野 聰
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報