バルカン同盟(読み)バルカンどうめい(その他表記)Balkan League

精選版 日本国語大辞典 「バルカン同盟」の意味・読み・例文・類語

バルカン‐どうめい【バルカン同盟】

  1. 一九一二年、ロシア仲介セルビア・モンテネグロブルガリアギリシア間に個別的に結ばれた防御同盟総称オスマン‐トルコ勢力のヨーロッパからの駆逐およびマケドニア分割を約した。第一次バルカン戦争誘因となる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「バルカン同盟」の意味・わかりやすい解説

バルカン同盟
ばるかんどうめい
Balkan League

1912年3~10月にかけて、バルカンセルビア、ブルガリア、ギリシア、モンテネグロ各国間に個別に結ばれた防衛同盟の総称。バルカン連盟ともいう。4国のなかで、とくにセルビアとブルガリアは民族運動の後れていたマケドニア地方に対する領土的利害が対立し、相互の協力関係は進展しなかった。しかし、国際情勢の変化に加え、ロシアの強い働きかけで、1911年10月からセルビア・ブルガリア同盟条約締結の交渉が始められ、1912年3月に両国の同盟が成立した。続いて5月にギリシア・ブルガリア間、9月にブルガリア・モンテネグロ間、10月にセルビア・モンテネグロ間の同盟条約が調印され、バルカン同盟が形成された。セルビア・ブルガリア同盟条約では、オーストリア・ハンガリー帝国を共同の敵国とみなす条項もみられたが、バルカン同盟はオスマン帝国に対する共同防衛を第一義として掲げ、対トルコ戦争勝利後の相互の領土分配を規定していた。

[柴 宜弘]

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旺文社世界史事典 三訂版 「バルカン同盟」の解説

バルカン同盟
バルカンどうめい
Balkan League

1912年3月から6か月間,ブルガリア・セルビア・ギリシア・モンテネグロの間に結ばれた同盟
ロシアのパン−スラヴ主義のあと押しとギリシア首相ウェニゼロスの奔走によって生まれた。オスマン帝国勢力のヨーロッパからの駆逐とマケドニア分割を目標とした。ロシアはこの同盟を自国に軍事的に従属させ,オーストリアへの障壁にしようとしたため,第1次バルカン戦争の誘因となった。

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世界大百科事典(旧版)内のバルカン同盟の言及

【バルカン戦争】より

… 19世紀に政治的独立を達成したバルカン諸国は不安定な内政や領土問題のために20世紀初頭から軍事化の傾向を強めた。西欧列強はオスマン帝国領マケドニアの改革問題に干渉したが結着をみず,ブルガリアはロシアの了解のもとに1912年にセルビア(のちにモンテネグロも)およびギリシアとバルカン同盟を結んだ。1911‐12年のイタリア・トルコ戦争でオスマン帝国が弱体化したのに乗じ,12年10月同盟軍はオスマン帝国に宣戦した。…

※「バルカン同盟」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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