改訂新版 世界大百科事典 「バルナバ」の意味・わかりやすい解説
バルナバ
Barnabas
1世紀半ばの初代キリスト教伝道者。《使徒行伝》4章36節によればキプロス島出身のユダヤ人キリスト者で,本名はヨセフであった。バルナバとは〈慰めの子〉を意味するあだ名。回心後のパウロを導き,エルサレムの使徒たちにも紹介した(《使徒行伝》9:27)。シリアのアンティオキア教会の設立に尽力した。その立場はパウロと同じで律法から自由な異邦人伝道をめざし,パウロの第1回の伝道旅行にも同伴した(同13:3)。しかしのちにパウロと意見を異にして別れ(同15:37~39,パウロの《ガラテア人への手紙》2:13),故郷のキプロス島に帰ったとされる。《バルナバの手紙》は彼による真正の手紙ではない。
執筆者:青野 太潮
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報