レビ人(読み)れびじん(英語表記)lewīyyīm ヘブライ語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「レビ人」の意味・わかりやすい解説

レビ人
れびじん
lewīyyīm ヘブライ語

レビびと」ともいう。古代ユダヤ教の祭司一族。元来は古代イスラエル12部族の一つであったらしい。しだいに古代イスラエルの宗教的伝統を担い伝える門閥を形成し、さらに、ヨシヤの宗教改革(前620ころ)などをきっかけとして、下級祭司層をなすに至った。イエスの時代には神殿直属の祭儀執行官吏であったらしく、レビ人の愛の欠除した形式主義がイエスによって批判されている(「ルカ伝福音(ふくいん)書」10章32節)。レビ人の名祖はイスラエルの父祖の1人ヤコブの息子レビであり、モーセもレビの出とされる。なお『旧約聖書』には、祭儀規定を記す「レビ記」がある。

[月本昭男]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「レビ人」の意味・わかりやすい解説

レビ人
レビびと
Levites

ヤコブの第3子レビの子孫,イスラエルの 12支族の一つ。本来神に奉仕すべきイスラエルの民が金の子牛の偶像を拝んでいたとき,レビ人は神の言葉に対してきわめて忠実であったため祝福を与えられ (出エジプト記 32・25~29) ,祭司族となったが (申命記 18・1) ,なかでもアムラムとヨケベデの子,モーセの兄アロンの家系レビ族のうちでも最も指導的な地位を与えられた (民数記3・6~10,18・1~7,歴代志上 23・13) 。しかしバビロン捕囚期以降,祭司階級は,大祭司,祭司,レビ人の3階級に分かれ,「レビ人」は下級祭司をさすようになった。

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