改訂新版 世界大百科事典 「バーク堆肥」の意味・わかりやすい解説
バーク堆肥 (バークたいひ)
木質堆肥ともいう。パルプ・木材加工工場からの木質廃材とくに樹皮(バーク)を主原料とし,堆積,腐熟させた堆肥。特殊肥料として20種ほどの製品が市販されており,年間の消費量は30万tほどになる。普通は木質廃材をしばらく野積みしてから粉砕して,直径3~5mm以下の粗砕物とする。この粗砕物1tに乾燥鶏糞(けいふん)50kg,尿素10kg,硫安20kgほどをまぜて,枠のなかに1.5~2mの高さで容積160m3ほどに堆積する。水分は55~60%にし,雨のかからないようにする。1ヵ月に1回の頻度で切り返して,4~5ヵ月以上腐熟させると堆肥となる。木質原料にはタンニンやフェノール系物質あるいはリグニンが多く含まれるのでこれらを十分に分解腐熟させるのに時間がかかる。バーク堆肥の成分は窒素1.3~1.7%,リン酸0.5~1%,カリ0.3~0.9%,炭素約40%,炭素率25~30であり,農地へは通常の堆肥と同様に用いられ,元肥として10a当り1tほど施用する。しかし土壌中での分解は遅いので連用2年目,3年目には施用量を500kgほどに落とす。吸水力が強いので乾燥地では注意が必要である。園芸などの培養土や林業では緑化樹の鉢取りに利用する。
執筆者:茅野 充男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報