パウエル(Colin Powell)(読み)ぱうえる(英語表記)Colin Powell

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

パウエル(Colin Powell)
ぱうえる
Colin Powell
(1937―2021)

アメリカの軍人、政治家。G・W・ブッシュ政権1期目の国務長官。ニューヨーク市生まれ。中央アメリカ・ジャマイカからの移民の子で、ニューヨークのサウス・ブロンクス地区で育つ。1958年ニューヨーク市立大学卒業。在学中に予備役将校訓練でアメリカ陸軍へ入隊ベトナム戦争に二度にわたって従軍した。ジョージ・ワシントン大学で経営学修士号(MBA)も取得している。軍歴は35年間におよび、1989年から1993年にかけて黒人としてアメリカ史上初めて、アメリカ軍の最高位である統合参謀本部議長を務めた。在任中、「軍事介入は、アメリカの安全への脅威が明白で国民の支持があるときのみ、最後の手段として行う」「いざ軍事力を行使する際には、戦略目標を明確にして圧倒的な兵力を投入する」といった基本方針を掲げ、パウエル・ドクトリンとして知られるようになった。1991年の湾岸戦争を指揮したことで国民的人気が高まり、1993年の退官後、大統領選出馬の可能性も取りざたされた。2001年1月、ブッシュ政権の発足の際に国務長官に就任した。国際協調を重視する穏健派。2003年3月に遂行されたイラク戦争にいたる過程では、フセイン政権への対処を巡ってタカ派ラムズフェルド国防長官らと対立した。2005年1月国務長官を退任した。

[尾関航也]

『オーレン・ハラーリ著、前田和男訳『パウエル リーダーシップの法則』(2002・ベストセラーズ)』『コリン・パウエル著、ジョゼフ・E・パーシコ著、鈴木主税訳『マイ・アメリカン・ジャーニー コリン・パウエル自伝 少年・軍人時代編』『マイ・アメリカン・ジャーニー コリン・パウエル自伝 統合参謀本部議長時代編』『マイ・アメリカン・ジャーニー コリン・パウエル自伝 ワシントン時代編』(角川文庫)』

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