パルプ漂白(読み)パルプヒョウハク

化学辞典 第2版 「パルプ漂白」の解説

パルプ漂白
パルプヒョウハク
pulp bleaching

蒸解によって得られる未さらし化学パルプは,茶褐色ないし暗褐色を呈している.パルプ中に残存するリグニンを中心とした着色原因物質を,選択的に分解除去し,白色のさらしパルプにすることをパルプ漂白という.漂白には,塩素ハイポ(次亜塩素酸塩),二酸化塩素過酸化水素などの各種の薬剤とアルカリ抽出を組み合わせた多段漂白が用いられている.とくに,塩素は従来の化学パルプの漂白の中心的薬剤として用いられてきた.しかし,パルプ中の残存リグニンと塩素との反応によって,各種の有害なクロロフェノール類が生成すること,とりわけ毒性のきわめて高いクロロダイオキシン類の生成が確認されたことから,塩素および次亜塩素酸塩を使用しない漂白に急速に移行しつつある.二酸化塩素を含むすべての塩素系漂白薬品を使用しない漂白プロセスをTCF(total chlorine free bleaching)漂白プロセスというのに対し,二酸化塩素を使用するものをECF(elemental chlorine free bleaching)漂白プロセスといい,世界的にパルプ漂白の中心的方法になりつつある.これは二酸化塩素がきわめて良好な脱リグニン特性を有することに加えて,通常の二酸化塩素の使用条件でのクロロダイオキシン類の生成が無視できる程度であることによる.今後のパルプ漂白においては,二酸化塩素に加えて,酸素,過酸化水素,オゾンなどの酸素系薬剤の占める役割は非常に大きくなると考えられる.なお,メカニカルパルプ(MP)の漂白においては,パルプ中のリグニンを分解除去することなく,還元漂白剤で着色を取り除く処理が行われる.これをブライトニングという.この場合は,リグニンの存在のために,使用とともに紙の黄色化が避けられないが,これを色戻りという.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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