ヒドロキサム酸(読み)ヒドロキサムサン

化学辞典 第2版 「ヒドロキサム酸」の解説

ヒドロキサム酸
ヒドロキサムサン
hydroxamic acid

ヒドロキシルアミンN-アシル誘導体で,一般式RCONHOH(Rはアルキル基またはアリール基)で表される.カルボン酸エステル酸塩化物,酸無水物などにヒドロキシルアミンを作用させると生成する.

RCOOR′ + NH2OH → RCONHOH + R′OH

弱い酸性をもつ無色結晶(pKa 8.9~9.4)で,加水分解されやすい.IRでは1650~1670 cm-1 領域にC=O伸縮振動がみられる.塩化鉄(Ⅲ)を作用させると錯塩を生成してブドウ酒色を呈する.カルボン酸をヒドロキサム酸にしてこの方法で検出できる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヒドロキサム酸」の意味・わかりやすい解説

ヒドロキサム酸
ヒドロキサムさん
hydroxamic acid

カルボキシル基の -OH を -NHOH で置換したカルボン酸誘導体。化学式 RCO(NHOH) 。塩化第二鉄を作用させると赤ないし紫に呈色する。ヒドロキサム酸はカルボン酸エステルにヒドロキシルアミンと水酸化ナトリウムを作用させるか,塩化アシルとヒドロキシルアミンから簡単に得られ,カルボキシル基の検出に利用される。

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