ビガーノ(その他表記)Salvatore Viganò

改訂新版 世界大百科事典 「ビガーノ」の意味・わかりやすい解説

ビガーノ
Salvatore Viganò
生没年:1769-1821

イタリアの舞踊家振付師ナポリの舞踊家の一族の出で,作曲家ボッケリーニの甥。ノベールの信奉者の振付師ジャン・ドーベルバルにマドリードで会い,その影響を受けてバレエリアリズムとドラマ性を吹きこんだ。同地で知り合ったオーストリアの踊り手マリア・メディナと結婚。ロンドンウィーン等でも活躍したが,主としてミラノを中心にイタリア各地で働き,19世紀初頭にミラノをバレエの中心地とした。バレエを表現芸術として踊るドラマにまで高め,また群舞の扱い方に新機軸を出した。40以上の作品があるが,ベートーベン作曲の《プロメテの創造物》(1801)が有名。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ビガーノ」の意味・わかりやすい解説

ビガーノ
Vigano, Salvatore

[生]1769.3.25. ナポリ
[没]1821.8.10. ミラノ
イタリアの舞踊家,振付師。舞踊家の一家に生れ,また作曲家 L.ボッケリーニに甥にあたる。ローマで女役としてデビュー。 J.ドベルバルの影響を受けてバレエ・ダクシオンを推進し,妻の M.メディナとヨーロッパ各地を巡演した。 1813~21年ミラノのスカラ座でバレエ・マスターをつとめる。踊りとともに演じられるマイムに代えて,登場人物の性格に基づく表情豊かなマイム・ダンスとして統合し,また群舞の劇的用法を取入れるなど,イタリア・バレエ界に多大な貢献をした。門下に C.ブラシスらがいる。ベートーベンが彼のために『プロメテウスの創造物』 (1801) を作曲したのは有名。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のビガーノの言及

【バレエ】より

…今日のタイツと呼ばれるものも,19世紀の初めに発明され,舞踊技術の進歩を促した。 次いでイタリアにS.ビガーノが現れ,ノベールの道をさらに発展させた。彼はコール・ド・バレエ(群舞の踊り手)の動きを改革し,その地位を高めると同時に,バレエの主題に関してはとくに意を注いで,ドラマとしてもりっぱな作品を考案した。…

※「ビガーノ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android