日本大百科全書(ニッポニカ) 「ビョルケ密約」の意味・わかりやすい解説
ビョルケ密約
びょるけみつやく
1905年7月24日、フィンランドのビョルケBjörkö島でドイツ、ロシア両国皇帝により調印された秘密条約。ドイツ皇帝ウィルヘルム2世は、日露戦争の敗北と革命に打ちひしがれたロシア皇帝ニコライ2世の弱みを利用し、イギリスに対抗するドイツとロシアの防御同盟を結ぶことに成功した。この同盟には将来ロシアの仲介でフランスも参加することが期待されていた。しかしロシアの大臣たちはこの条約がロシア・フランス同盟と両立しえないことを説き、改訂を求めたので、条約は自然消滅した。ロシアのイギリスへの接近を防ごうとするドイツ外交の試みは失敗に終わり、1907年にはイギリス・ロシア協商が成立して、ドイツの孤立は決定的となった。
[木谷 勤]