日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
フィッシャー(Irving Fisher)
ふぃっしゃー
Irving Fisher
(1867―1947)
アメリカの経済学者、統計学者。ニューヨーク州出身。エール大学に学び、数学、物理学を専攻し、ヨーロッパに留学後、1893年に母校の数学の助教授となったが、1895年に経済学の助教授にかわり、1898年以降教授(~1935)。計量経済学の創始者の一人でもあり、1932年に計量経済学会の初代会長を務めた。
経済分析に数学的手法を導入することにより、近代経済理論の開拓者の地位を占めるが、とくに貨幣理論に優れた業績を残し、物価問題の分析および対策について実践的貢献をし、大恐慌時の1930年代には大統領のブレーンに加わり、ニューディール政策の立案にも関与した。彼の業績のうち、『貨幣の購買力』The Purchasing Power of Money(1911)のなかで展開された貨幣数量説は、フィッシャーの交換方程式としてとくに有名である。また、『物価指数の作成』The Making of Index Numbers(1922)においてなされた物価指数に関する研究では、今日でも「フィッシャーの理想算式」として知られている指数公式が示されている。
[高島 忠 2018年10月19日]
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